一途な溺愛王子様
告白
結局昨日はケーキを食べた後、家までストーカー……もとい、送り届けられてしまった。

いつもカンナの思う通り事が運んで、全くもって気に食わない。


「おはよう、ひめ。今日も一段と可愛いね」


そんなチャラい言葉を笑顔で吐きながら、あたかも自分の教室かのように入ってきたのは、あたしの天敵で宿敵のカンナだ。

そしてカンナのこの一言に、周りにいた女子達が黄色いため息をついたのは言うまでもない。


「おはよう、あたしが朝から見たくもない顔ナンバーワンな男のカンナくん」

「ひめは相変わらず素直じゃないね。そこもまたいいんだけど」


そうですか、そうですか。こいつにはどういったお薬を処方したらいいのか誰か教えてくださーい。

あたしは投げやりな気持ちで、カンナのことは無視した。けど、カンナは自分の席でもない癖にあたしの隣の席にちゃっかり座って足を組みながらあたしを観察している。

朝から不快度数、右肩上がり。


「よっす、ひめ! と、カンナ」


朝からパワフルな笑顔で登校してきたのはコウだ。そんなコウに向かってカンナは微笑みで返す。

いつもとは違う態度にコウは驚きつつ、その笑顔に心当たりがあるのか、すぐに回れ右で背を向けた。

けど、カンナはそんなコウのシャツを掴んで、引き止める。


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