転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
第三章 婚約式を邪魔するもの
今まで考えないようにしてきたが、父と話をする時間は持たなければならない。
 父から命令があった翌日。
 ニイファに支度を手伝ってもらいながら、ヴィオラは緊張感がひしひしと込み上げてくるのを感じていた。

(お父様は、ザーラと私の確執は、ずっと見て見ぬふりをしてた……)

 母が生きていた間、堂々とザーラを王宮に入れなかったということだけは、認めてもいいかもしれない。
 だが、母が病に倒れたのを好機としたかのように、王宮のすぐそばに構えていたザーラの屋敷に入り浸り、亡くなったあとはすぐに王宮に入れた。
 母が倒れてから、何度見舞いに訪れたか。おそらく片手で足りてしまう。
 その後、ヴィオラの周囲で不自然な〝事故〟が多発しても、「今後は気を配るように」とのひと言で済ませた。
 ヴィオラから人が離れていったのは、「王女の身になにかあった時、責任を取らされてはたまったものではない」という保身の念があったからだろう。
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