死者の魂〜最期のメッセージ〜
原刑事がトイレに行った刹那、ビールを口にしていた如月刑事の隣に福山美里が移動してきた。その近すぎる距離感に如月刑事は慌てて離れる。

「あら、女性慣れをしていそうな顔立ちなのに、意外と草食系なんですね。……刑事さん」

「やはり、知っていたか。だから原の質問にも答えなかったのか」

予想していたことなので、如月刑事は驚いたりはしない。ただ睨むように目の前にいる女性を見つめた。

フフッと福山美里は笑う。

「あなたのことはずっと見ていました。なかなかいい男ねって……」

福山美里の態度を見て、如月刑事は確信する。この目の前にいる女性が、多くの男性を殺した殺人者だと言うことを……。

如月刑事の口の中に、カンパーリの苦味が蘇る。いつまでも舌に絡み付いて離れない。

如月刑事の目の前で、福山美里はまた不敵に笑った。
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