極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
私だけのヒミツの王子様
 彼との出会いは運命だとか、必然的だったとか、赤い糸で結ばれていたとか……。そんなロマンチックなことは思わない。
 ただの偶然で、ありふれた日常の中の出会いにすぎない。

 それでも彼との出会いは大切にしたい。だってわずかな時間会って話をするだけで、私はとっても幸せな気持ちになれてしまうのだから。

 誰にもヒミツの、私だけの王子様。

 この想いが報われることは絶対にないとわかっていても、好きになる気持ちを止めることなどできなかった。



 今日は朝から風がとても強い。
 いつもの時間に満員電車に揺られていると、窓から桜の花びらが次々と風によって空高く舞っているのが見えた。

 あぁ、結局今年もお花見できなかったな。なんて残念がっていると、あっという間に最寄り駅に着いた。
 人の波に乗って歩道を歩くこと五分。会社に着くと、誰もいない控室でさっそく着替えに取りかかる。

 ギンガムチェックのコックシャツに袖を通し、合わせるのはベージュのチノパン。黒のミドルエプロンを付けて、最後に背中まである髪をうしろでひとつにまとめる。
 ブラウンのハンチング帽を被れば、着替えは完了。

「よし、今日も一日頑張ろう!」

 気合いを入れて、控室を後にした。
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