極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
守っていきたい
 土曜日。光美に付き添ってもらい、朝一で向かった先は休日でも診療している産婦人科医院。

 やわらかなオルゴールの音色が鳴り響く待合室。ゆったりと座れるソファ席には、多くの妊婦さんが腰かけている。

 産婦人科を訪れるのは人生で初。どうしても緊張してしまう。ましてや受診目的が、妊娠の有無なのだから。

 光美の話を聞いて、自分の生理が遅れていることに気づいた。それもだいぶ長く遅れていることに。

 あの時は一気に色々なことが頭を駆け巡って、真っ白になってしまった。

 少しして我に返り、心配する光美に生理がきていないことを伝えると、『病院に行って調べてもらおう。それが一番間違いないもの。私も一緒についていくから』と言ってくれたんだ。

 彼女に甘えて、お互いの仕事が休みの今日訪れていた。

 問診の際に妊娠の可能性があることを伝えると、尿検査をするように言われた。
 そして順番がくるまで、光美とともに待っているわけだけれど……。

 今日までずっと考えていた。もし、妊娠していた時のことを。

 子供は好きだし、結婚したらいつかは欲しいと思っていた。でもそれは本当、まだまだ先の話で……。

 村瀬さんと一緒になるには、大きな壁に立ち向かわなければならない。

 彼のご両親にご挨拶をさせてもらっていないし、できるなら叔父である専務にも認めてもらいたい。
< 193 / 308 >

この作品をシェア

pagetop