極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
キミとデートがしたい 誠司SIDE
 幼い頃から自分の立場を理解してきたつもりだ。並々ならぬ努力を重ねてきたのも将来のため。

 生まれる前から決まっていた人生のレールに乗って、今日まできた。学生時代、自分の将来に思い悩む友人を見て多少は自由な未来を羨ましくも思ったが、今はやりがいのある仕事に就くことができ、充実した毎日を過ごせて満足している。

 それに一企業のトップに立てる人生など、そう簡単なものではない。そのように考えれば、生まれる前から決められていた自分の未来も、まんざらでもないと思う。

 順調に歩んできた人生に満足しているし、今後もよりいっそう精進したい。

 そして三十の歳を重ねた今、会社のためにも早く結婚するべきだと思っている。

 数年前より周りから結婚を勧められ、弟が結婚してからはとくに見合い話を持ち掛けられることが増えた。

 だが、どうしても見合いを受ける気になれなかったんだ。それはきっと、弟夫婦の仲睦まじい姿を目の当たりにしたからだと思う。

 何気ない日常の中で唯一無二の存在だと思える人と運命的に出会い、そんな人と結婚したいと願うようになった。

 縁談話をのらりくらりと断り続け、結婚するならこの子だって思えるような、そんなドラマチックな出会いを夢見ていたある日。出会ってしまったんだ。運命の相手に――。
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