シンデレラには····程遠い

···お誘い


目が覚めた時、絢斗さんは
いなかった。

帰ってきてない?
と、思ったが····

目覚めしが、枕元に置かれていた。
うふふっ····優しい····

すると·····

「おはようございます。鈴香様。」
「おはようございます、山田さん。
それから、ありがとうございます。」
「いいえ。私は、藤堂様のご依頼で
お掛けしただけです。」
「はい。ありがとうございます。」
と、お礼を言って受話器を置く。

これは、コンシェルジュとの
やり取り専用電話だ。

またまた····

「起きたのか?」
「はい。目覚めしと山田さん、
ありがとうございます。」
「いや、気持ち良さそうに寝ていた。」
と、絢斗さんに言われて
「お仕事頑張って下さい。」
と、言うと
「ああ、鈴香も気をつけて
大学に行くように。」
と、言って電話を切る。

絢斗さんの

······〔 鈴 香 〕······

と、呼ぶ声が好き
呼ばれる響きが好き

えっ、好き?
私が?
絢斗さんを?
絢斗さんの声?響き?だけ?

一人、自問自答をしながら
大学へ行く準備をする。

大学に行くと
風花からLINEが·····
❬ 代わりない?
快斗さんが連絡して良いか
と、訊いてるけど大丈夫? ❭と。
❬ うん、代わりないよ。
快斗さん?大丈夫だけど。 ❭
と、返すと
❬ 了解。また連絡するね。 ❭
と、来て五分ぐらいすると
携帯が振動して
知らない番号だ。

快斗さん?
「はい。」
「鈴香ちゃん?」
「はい。快斗さんですか?」
「そうだよ。良かった。」
「何かありましたか?」
「今、兄貴の部屋にいるんだってね。」
「あっ、はい。」
「ふ~ん。」
「えっと。何か不都合でもありましたか?」
「ううん。全然。
あっ、電話したのは、
今日、小さなパーティーがあるんだ。
それに出席できないかな?と思って」
「パーティーですか?
人が集まるとこは苦手なんですよね。」
「そう言っていたね。
だけど、藤堂・クラーク・絢斗の
仕事の顔が見れるよ。興味ない?」
と、言われた。

確かに興味はある。
と、言うか、快斗さんの口車に
乗せられた感がある。

快斗さんの電話を切ってから
風花に連絡をして話したら
「快斗さんの考えはわからないけど
何でも経験だよ。
オーナーもいるんだし
問題ないでしょう。」
と、言われたから
そうかな?と思いながら

快斗さんから、
❬ 今から迎えに行くから
    大学の入り口にいて ❭
と、連絡がきた。

講義は、終わっていたから
帰り支度をして
門へと向かうと

真っ白のスポーツカーに
身体を預けた快斗さんがいた。

遠巻きに女子が集まっている。

快斗さんは、私を見つけると
急いでやってきた。

回りの女子の視線がいたくて
小さくなっていると
「鈴香ちゃん。
時間ないし行こうか。」
と、言われて
「はい。」
と、答えると
手を引かれて車に乗せられた。
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