シンデレラには····程遠い
休暇

フランスに来て3ヶ月が過ぎた
12月の休暇に入り
日本へと帰国する。

毎日、泣いて過ごしていた日々から
今日まで、泣かずに必死に
やってきた。

後悔しないように····
絢斗さんに頑張ってきたよ
と、胸を張りたい·····

だから、この3ヶ月は、
絢斗さんにフランスに来ないで
と、お願いした。

顔を見たら
あの優しさに触れたら
きっと、また、同じようになる。
だから······

まもなく、日本へ着陸する。

胸のドキドキが⋅⋅⋅⋅⋅
   止まらない⋅⋅⋅⋅

忙しい人だから、
「迎えも大丈夫」
と、言ったけど
それは、却下された。

自分の荷物が来るのを待ち
受け取り、搭乗ゲートから出ると

一目で····わかる·····

出口から、足が動かない
人の迷惑になっているのは
わかっているのに。

すると、クスッと笑いながら
私に近づいてくる····絢斗さん。

「まったく、お前だけだ。
俺を動かすのは。
お帰り、鈴香。」
と、言われて
その場で、飛び着くと
優しく、抱き締めてくれた。

そのまま、抱えられて
キャリーも絢斗さんに
引かれて、出口から離れる。

広い所に下ろされて
顎を持ちあげられて
チュッとキスを落とされて
恥ずかしさと
もっとくっついていたくて
首に腕を回すと。
クスクスっ、笑う、絢斗さん。

「もう少しだけ、我慢だ。」
と、言い
「帰るぞ。」
と、言われて
頷くと、手を引かれて歩く。

絢斗さんは、一人みたいで
「潤は、まだ、会社だ。」
えっ、なら、と思うと
「俺の仕事は、終わらせた。」
と、先に言われて
クスッ、と笑ってしまった。


私達が、空港を後にした時·····


すっご~い·····
あんな風に····出迎えてもらいたい····
カッコいい····
愛されてる····
海外からだから、離れていたんだ·····

······等····等····

飛び交っているとは·····
知らなかった·····
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