2度目の初恋

公平の過去

俺の名前は山田 公平。



小さいときはずっとミニカーと2人のお兄ちゃんと毎日遊んでたという。



ちなみに名前は



長男 泰成(たいせい) 次男 玲央(れお) 三男 公平 (こうへい)




の三兄弟である。




お兄ちゃんとは仲良くて毎日遊んで一緒にお風呂に入って、大きくなってからも、周りからはキモいと言われるけどお揃いのシャツやネクタイ、キーホルダーにスマホケースなどたくさん持っている。




お兄ちゃんが悲しいと俺も悲しい。




お兄ちゃんが嬉しいと俺も嬉しい。




そう思うくらいお兄ちゃんのことが大切だ。



それで大きな病気もなく高校生になった時。



俺は偏差値78の高校に進学した。



母も親父も頭いい、お兄ちゃん2人も俺も頭よくて、正直エリート一家ってやつ。



そして、外見もいいって言われる。



180㎝でワックスでかっちかっちに固めて髪型を作っている。



それは、モテたいからじゃなくて、ただ…



自分が好きな髪型だし、これじゃないと俺じゃない感じがするから。



だから高校では少し浮いてる。黒髪だし、先生たちもあんまり注意してこない。



それに、成績は学年トップ。友達もたくさんできた。



部活は小学校からしていた体操を高校でも続けている。



体操をしているのになぜか身長が異様に高いから



体操をしているときは頭を真っ白にして集中できるし、楽しい。



みんなが嫌だという土日1日練も全然つらくない。



もちろん疲れるけど。



俺は、「ゆか」が1番得意。



とにかく回るのが得意だから、とことん回っている。



顧問から回りすぎだ、少しひねりを加えろと言われるくらい。



こうして6月。



高校入って、初めての地区総体。



1年で選抜入ったから頑張らないと。



でも、今日は顧問が予定あって午後から。



ゆっくりして、昼ご飯を食べ終わって荷物を準備して、



靴を履こうとしたら



「あ、スマホ忘れた。」



部屋に取りに行って、部屋から出て、階段を降りようとしたら



母と親父が話してる



2階から声が聞こえる



やけに大事な話をしている




会社の経営とかいうから深刻な問題だろうな。




親父は大手不動産会社社長で株もやっている。母は小児科医。




よく会社のことや家族のことで話しているが、喧嘩までは行かなくて、結婚記念日では2人だけで旅行している。



しかも、夫婦で話すことは普通だ。





だから、あー、いつものことだなと思い改めて、2階の自分の部屋から降りて行こうとしたとき




「親父、お母さん、聞きたいことがある。」




これは玲央の声だ。(お兄ちゃんと話すときは呼び捨てで呼んでいる。)




「なんだ、珍しいな。」




「公平は親父の息子じゃないよね。」




母と親父は黙る。




いきなりなんてことを言うんだ。



いままで1度も考えたことないのに。



生まれてきて16年、愛情をかけてもらったのに。




やりたいことやらせてくれて、忙しいのに、手作り弁当毎日作ってくれるし、体操の大会は2人できてくれたし、悩みもいつも聞いてくれた。




親父に5歳のときブランコ作ってって言ったらすぐ庭に作ってくれた。




一緒に体操しようって言ったら無理しすぎて足骨折までした親父。




母なんて、高校受験で少し勉強が大変なとき、つっききりで朝まで勉強教えてくれて



バレンタインで親父に毎年ガトーショコラあげるけど、俺とお兄ちゃんたちにだけハート型で親父に俺のことは愛していないのかと、逆に怒られたり、、、



親父のもハート型にすればよかったのに。



それほど俺たちのこと愛してくれてるんだなと日々感じていたのに



俺が実の息子じゃない?



ありえない。



玲央はなにを根拠に言っているのか。




考えれば考えるほどめまいがしてきた。




そしたら




「そうだ、公平は俺たちの息子じゃない。」



「あなた!」



「もう大人だ、言ってもいいんだ、公平も分かっているかもしれない。」



「なんで気づいたんだ。」



「泰成と俺にある肩のほくろが公平にはない。それと、家族全員アーモンドアレルギーなのに公平だけ違う。あと決定的なのは、俺が1週間前に大学のラボで血液の研究をしていて、泰成と公平の血液を採取したんだけど、公平だけAB型だった。あえいえないよな、親父がO型で母がA型なんだから。それで確信した。」




「すごい偶然だな。」



「公平なんでここにきたんだよ、公平は知っているのか?」



「分からない、でもまだ知らないと思う。」



「もう泰成は知っている。だいぶ前から気づいていたが俺が言わないでくれって頼んだ。」




「なんで黙るんだ、もう公平も高校1年生だぞ、知ってもいいと思うけど。」




「公平がこの家に来た理由は複雑なんだ。でも泰成も22歳、玲央も20歳だ、全部受け止めてくれるなら言ってもいい。」



もう時刻は13:00、部活が始まった。でも今はそんなことはどうでもいい。会話が気になって仕方がない。



「泰成を呼んできなさい、全て話す。」



「公平には話さないのかよ!?」



「まずおまえたちに話す。」



「わかった、泰成を呼んでくる。」



玲央が2階にくる俺はトイレに隠れる。



「泰成-、下にきて。」



「公平のことだ。」



「わかった。」




泰成も玲央も下に降りる。



そして、トイレから出て、階段で1階から見えない死角に座った。



リビングに俺以外の4人が集まる。



俺は部活に行っていると思っている。




そして、親父がなんで俺がこの家にきたのか、全てを話す。



これが俺が記憶喪失になった原因だ。
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