桜の咲く頃……… 君を想う

写真の真相

夏苗ちゃんの家を、後にして

二人…………口も開かず、夜の道をただ歩いた。

さっきまであれ程、聞いたい事も話したいことも………あったというのに。

「……………ねぇ、桜ちゃん。
もう少し、時間ある?」

覚悟を決めて話しかけた俺に

コクりと首を縦に振って頷いた。

「今日は、飲む気で来たから………車じゃないんだよね。
もし酔って辛いようなら………タクシーで送って行くつもりだったんだけど。
大丈夫そうだから…………
少し歩いて散歩しない?
話したいこともあるから…………。」

俺の言葉が、以外だったのか。

キョトンと見上げて、再びコクりと頷いた。

少し子供っぽい、そんな姿も可愛い。

素直な彼女は、俺の1歩後ろを着いてくる。

「話しやすいから………隣を歩いてくれたら嬉しいんだけどなぁ。」

「あっ!すみません。」

慌てて足早に追いかける彼女。

しかし、少しするとまた遅れをとっている。

もしかすると…………酔ってないように見えるけど………

やっぱりちょっと酔ってる??

そう思って、さりげなく横を歩く彼女を見ると

下を向いて一生懸命歩いていた。

どうやら、俺の歩幅とはかなりの開きがあるようだ。

そっと………彼女の手を取ってみた。

一瞬、俺を見つめ…………恥ずかしそうに俯きながら

「ごめんなさい。」と………。

恋人というより、幼い子供の手を引いているようにお互いが感じている。

教師、生徒の仮面を取って………男と女になりたいと望むけれど………

俺はやっぱり教師で

彼女は教え子なのかもしれない。

…………………………………………。

それでも、繋いだ手から伝わる鼓動は

確かに彼女のもので。

あれ程欲しいと思い。

今は、俺の手の中にある。

…………………………この手を離したくない!
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