明日はきっと虹が見える
プロローグ

〜物語の終わりと始まり〜

プロローグ

冷たい風が私の体温を奪っていく。
茶色の手編みのマフラーは私の首と口を寒さから守り、同時に制服をおしゃれに着飾ってくれていた。
私はしゃがんでいた自分の体に渾身の力を込め、ゆっくりと立ち上がった。
両手で持っていた専門学校の合格通知書をカバンの中に入れ、両手で頬をパチンと叩く。
「よし!」
春から新しい生活が始まる。
そのために、私は生まれ変わらなければならない。
きっと、それは簡単なことではないだろう。
でも、彼となら。
彼と一緒なら、怖いものはない。
「じゃ、行こっかね」
私の隣にいるかけがえのない財産は私の肩に手を乗せた。
「そうだね。行こう」
彼の家に向かって歩き出す。
私はもう一人じゃない。そう自分に言い聞かせた。
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