逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
魔性の取引き

 3週間後。

 忍は樹利亜が居なくなった事は公にせず、水面下で捜索してもらう事にした。


 優輝と希歩にも騒ぎ立てないように口止めしている。




 樹利亜が居なくなってから5日程して、離婚届けが忍に送られてきた。

 住所は書かれていなかったが、消印は金奈市だった。

 樹利亜の分は記入してあり、いつでも提出してもらっていいと書いてあった。



 忍は記入しないまま、引き出しにしまった。





 仕事の合間や時間のある時に、心当たりを探して見た忍だが全く樹利亜の行くへは判らないままだった。


 派遣の寮に行って、同じ派遣社員の人に樹利亜を見なかったか聞いてみたが、全くみかけないと言っていた。

 どうやら派遣の仕事にも来ていないようだ。


 

 樹利亜を探しながら、忍はいつもと変わらないように仕事をしていた。




 そんな時。

 宗田ホールディングにあのモンスターがやって来た。


 黒地に赤いバラ模様の派手なワンピースに、黒いボレロをはおって、赤いハイヒールを履いて、髪は派手なカールをかけて手にはダイヤの指輪を数ヶ所はめている。



「社長を呼んでちょうだい」


 受付けで偉そうに言ったのは、あの歩道橋で樹利亜と会っていたモンスターの芹亜。

 どこかのホステスのような格好に、受付嬢も引いてしまっている。


「お約束でしょうか? 」

「約束なんてしてないけど、お金が欲しければ取りにこいって言うから来たの。早く呼んでちょうだい! 」


 勢いに圧倒され、受付嬢は内線をかけた。



 
 ロビーのソファーに、偉そうな格好で座っている芹亜はタバコを吸って待っている。



 しばらくすると優輝がやって来た。


 芹亜はタバコを吸いながらニヤリと笑った。


 優輝は芹亜を見ると、見るからにモンスターの雰囲気を醸し出している事にちょっとゾクッとした。

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