逆転結婚~ブサイクだって結婚したい~
聞かせてよ、本当の気持ち

 騒ぎから2週間後。

 寒さが増してきた今日この頃。


 あれから忍は、樹利亜の父・博一がどこに埋葬されたのかを調べていた。

 せめてお墓を知って手を合わせたい。

 そう思ったのだ。



 樹利亜の行くへは判らないままで、手がかりもつかめない状態だった。

 樹利亜の使っていた携帯は解約され今は使えな状態。


 

 そんな時だった。


 忍の下に1人の男性が訪ねてきた。




 50代くらいの紳士で、優しい雰囲気のしっかりした男性。


 背の高いちょっとガッチリタイプの男性は、弁護士だった。



 副社長室に招かれた男性は名刺を見せた。


 名刺には澤中剛史(さわなか つよし)と書かれていた。



「突然お伺いして申し訳ございません。今回お伺いしたのは、里田樹利亜さんの事なのですが」

「樹利亜の事ですか? 」


「はい。貴方と結婚して、その後、離婚を申し出ておられますが。未だに届けが出されていないとの事で、私が代理人を頼まれました」

「代理人? どうゆう事でしょうか? 」


「樹利亜さんは、貴方との離婚を申し出ております。もう2ヶ月が経過するとの事です。しかし、一向に離婚届は提出されておらず。このままでは、樹利亜さんも旧姓に戻る事も出来ず。何もできない状態が続いていおります。協議離婚で済ませるために、貴方に離婚届を送ったとの事ですが。このまま届けが出されないままですと、調停か裁判へと手続きが進んでしまいます。なので、こちらにサインをお願いします」


 そう言って、澤中は離婚用紙をテーブルに置いた。

 

 用紙には樹利亜の分がきちんと記入してあり、印鑑まで押してある。


「ちょっと待って下さい。何故、離婚をしたいと言っているのでしょうか? 私は、離婚する意志は全くないのですが。今でも、彼女への想いは変わらないのです」

「今回、樹利亜さんのお父様、そしてお姉様の事件はご存知だと思います。複雑な家族構成だと言っても、樹利亜さんとお姉様は姉妹です。その関係者と、貴方のような立派な方が結婚しているとなれば、世間は騒ぎ立てます。また、今後の会社の取引にも影響しないとも限りません。それらを含め、樹利亜さんは離婚を決意されております」

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