会長様の秘蜜な溺愛
▼ヒミツなキモチ
放課後
「菜穂、また明日ね」
「あさみんじゃーねーっ!」
「部活頑張ってね!」
ホームルームが終わり、すぐ教室から出て行った麗ちゃんと香月くんを見送ったわたしは、急ぐこともなく教科書をカバンに入れていく。
時間を惜しんで部活へ向かう2人。表情はいつも部活前が一番輝いている気がしてならない。
そこに部の強さが表出ているのではないかと、わたしは2つの背中を見つめ笑顔になった。
今日はクッキングクラブの無い日だ。借りた本も早く読みたい。駅前に寄ろうかと思ったけど…、いいや。すぐに帰ろう。
「麻見さん!」
「あ、先生」
「っ…良かった、まだ帰ってなかったのね…っ!」
カバンを肩に掛け、帰ろうと一歩踏み出したしたまさにその瞬間。
目の前に息を切らして現れたのは担任の笹井先生だった。
「ふぅー…。私ったら職員室に置きっぱにしちゃって。この資料神谷くんにお願いね」
「…へ…?」
終礼後、先生が生徒より早く真っ先にいなくなったから何事かと思えば、どうやら一部の資料のために全力疾走をしたらしい。
「か、神谷くんって後ろの席の神谷くんですか?でも…」
「ふふっ、何言ってるのよー。生徒会長の神谷くんに決まってるじゃないっ」