会長様の秘蜜な溺愛

▼ヒミツなキモチ





放課後


「菜穂、また明日ね」

「あさみんじゃーねーっ!」

「部活頑張ってね!」


ホームルームが終わり、すぐ教室から出て行った麗ちゃんと香月くんを見送ったわたしは、急ぐこともなく教科書をカバンに入れていく。

時間を惜しんで部活へ向かう2人。表情はいつも部活前が一番輝いている気がしてならない。

そこに部の強さが表出ているのではないかと、わたしは2つの背中を見つめ笑顔になった。

今日はクッキングクラブの無い日だ。借りた本も早く読みたい。駅前に寄ろうかと思ったけど…、いいや。すぐに帰ろう。


「麻見さん!」

「あ、先生」

「っ…良かった、まだ帰ってなかったのね…っ!」



カバンを肩に掛け、帰ろうと一歩踏み出したしたまさにその瞬間。

目の前に息を切らして現れたのは担任の笹井先生だった。


「ふぅー…。私ったら職員室に置きっぱにしちゃって。この資料神谷くんにお願いね」

「…へ…?」


終礼後、先生が生徒より早く真っ先にいなくなったから何事かと思えば、どうやら一部の資料のために全力疾走をしたらしい。


「か、神谷くんって後ろの席の神谷くんですか?でも…」

「ふふっ、何言ってるのよー。生徒会長の神谷くんに決まってるじゃないっ」

< 65 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop