会長様の秘蜜な溺愛

▼ヒミツな時間




「…なに?それ監督に言わないで勝手に練習メニュー変えたってこと?フォーク刺そうか」

「そうだそうだっ!カナそういうとこあるよっ!」

「トレーナーに許可とったっつの。麗が言うと冗談に聞こえねぇわ」

「そうだそうだっ!麗そういうの良くないっ!」

「「日向喋んな」」

「うわハモるとか意味わかんないんですけど!ちょっとあさみん聞いた今のっ!?」

「あ、あはは…」


昼休み。テンポよく会話を繰り広げる3人を見ながらお弁当を広げる。

始めはわたしと麗ちゃんは2人で、神谷くんと香月くんはサッカー部のみんなとそれぞれ昼食をとっていたんだけど

いつの間にやらこの4人で食べるのが、よくある光景として落ち着いた。


麗ちゃんと香月くんはお家が隣同士の幼なじみで

香月くんと神谷くんはサッカー少年団からの親友で

麗ちゃんと神谷くんは兄同士が親友で関わりがある。

わたしは桔梗に入って麗ちゃんと知り合い、それから香月くんと神谷くんとも知り合って、まだ1年と少ししか経っていない。


この眩しくて華々しい3人と、わたしなんかが一緒に食べて良いのかと思うことは何度もあった。

…場違いになっていないかと、人の目を気にした。


「菜穂ー?またボーっとしてるー?」

「あ、ううん。大丈夫」

「もうあさみん上の空良くないよっ!」

「麻見以外まともなヤツいねぇんだからツッコミの準備しとけな」

「そうそう、奏が一番まともじゃないけどね」

「それ俺も同意っ」

「お前らだけには言われたくねぇ!!」

「あははっ!」


けれど今はもう、そんなことを気にする暇が無いくらい

此処をわたしの居場所として3人が受け入れてくれる。

嬉しくて、本当にありがたくて、…ちょっとだけ泣きそうになるんだ。

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