ギャップありすぎじゃないですか!!
誰か私にこの状況を説明して欲しい…。
私、鈴木彩(すずきあや)27歳は会社の近くのカフェで紅茶を眺めながら考えていた。
目の前には、普段ならきっちりスーツを着こなし仕事も完璧な彩が恐れてやまない上司、不二春樹(ふじはるき)33歳がいる。
何故こんなにも困惑しているかというと、目の前にいる完璧な上司であるはずの不二が彩の憧れている上司と同一人物だと思えないからだ。
「ごめんね、彩ちゃん。折角の休日に僕なんかとお茶なんてさせちゃって」とホットミルクをすすりながらどう見ても高校生にしか見えない不二が言った。
「いえ、むしろ不二さんの貴重な休みをすみません!!」と困惑しながらも彩が言うと、
「僕が誘ったんだから気にしないで。まぁ、会社の奴らに見られたら僕の命が危ないけどね。」
「え?」
「ううん、なんでもないよー。ところで、さっきの件どうかな?」
「え、えーと…なんで私なんでしょう?不二さんなら選びたいほう・・いえ、頼って欲しいという女性がたくさんいらっしゃると思うんですが…。」
「いや、僕が頼れるのは彩ちゃんだけなんだ!!だって僕の秘密を知ってるのは彩ちゃんだけなんだから」と春樹が子犬のような潤んだ目で彩を見上げながら言ってきた。
そう、彩は偶然知ってしまったのだ…春樹の会社では見せない姿を。
それは、クールで完璧に仕事をこなし鬼とも呼ばれる春樹がプライベートではこんなにも若い見た目で可愛らしいということを。
「分かりました。なります…春樹さんの偽装婚約者に。」と彩が渋々頷くと
「ほんと!?じゃあ早速来週末、婚約指輪を買いに行こう!!」
「婚約指輪なんて必要ありません!!」と必死に彩が抵抗するも「他の奴らに彩は俺のものだって見せつけないと」とにこっと笑いながら春樹は言ってのけたのだ。
「あ、でもこのことは会社では2人だけの秘密だよ?僕の素がバレちゃうと困るからね。」といい彩の額に柔らかい感触が降ってきた。
「じゃ、また月曜日に会社でね、僕の愛しのお姫様」彩は呆然となりながら顔を真っ赤にさせ額を抑えた。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop