逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
実家
車に乗って30分程で実家に着いた。
都内の中でも閑静な住宅地にある。
自動で門が開き、車が入り玄関前に到着した。

広大な敷地にある洋館のような建物が幼い頃から暮らしている実家だ。
髪をほどき、メガネを外して中に入る。
少し華やかなにしておかないとなんといわれるか。


「ただいま」

「芽衣ちゃん、おかえりなさい。待ってたのよ。
あら、なんかやつれてない?お仕事辛いんじゃないの?」

「お母様は変わらずお元気そうだね。」

「ええ、元気よ。この前もパリに行って観劇してきたのよ。
芽衣ちゃんにもたくさんお土産買ってきたからね。
でも、まずは食事ね!」


そう、ここが実家だ。
実家はなかなかのお金持ちだと思う。
父は柾木コーポレーションと並ぶくらい、日本経済に影響力のある会社を経営している。
九条コンツェルンの社長だ。
母は実家が華道の家元で、いわゆるお嬢様。

二人はお見合い結婚して、生まれたのが7つ上の兄、圭志ケイシである。
現在九条コンツェルンの副社長をしている。
その妹が、私。
本名 九条 芽衣。
平野姓は母の旧姓で、現在それを使って勤務している。
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