逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
新しい職場 ー蓮sideー
フランスから帰国するように辞令がおり、次は別のグループ会社へ行くようになった。
入社してあちこちのグループ会社で仕事をしている。
おかげで会社全体が把握しやすいし人脈も広がるが、最近は結構疲れていた。
フランスでの仕事の方がある意味自由で、あっていたのかもしれない。

今度は不動産業。
専門と違う分学ぶこともまだまだたくさんあって。

前職とも関連した仕事で、部下はいるがまだ初期段階でプロジェクトまで持っていくための
リサーチ。柔軟な若手の村上くんとはまだお互いに慣れず手探り状態だ。
円滑とは言えない。
上場企業なので優秀な社員は多いので英語の能力は高い社員が多いが、
フランス語が出来る社員はあまりいない。
秘書室勤務の人くらいか。
海外事業部なのにまだまだだ。


偶然、対応してくれた総務の社員がREO社の担当に評判が良かった。
辛口の彼が褒めていたので、よほど英語が流暢なんだろうと思っていた。
何度か彼とやり取りしていた時に、あのフランス語の女子社員と言うので詳細を聞くと
総務の平野という社員は流暢なフランス語で対応してくれたとのこと。
それを知って、プロジェクトのサポートを頼もうとお願いしたのだ。

初めての打ち合わせにやってきた彼女は総務の制服をきた真面目そうな女性だった。
落ち着いていて、髪をキチンとまとめ、視力が悪いのか大きな縁眼鏡をかけている。
いわゆる大人しく地味な人だ。三年目ということ、上手く育てないと潰れてしまうかもしれない。

なるべく的確に指示を出して書類作成を頼むと、きちんと要点がまとめられ見やすい。
フランス語の翻訳も含まれた資料を丸投げしても、想像以上のものを仕上げてくる。
修正を加えると素直に把握し、理解が高い。
正直、なんで総務で働かせてるんだと思った。
社員のスキルを生かしきれてない人事だろうと。
履歴書をみると、フランス語を特技として申告していない。
あれこれアピールする就活なのに、実に控えめな履歴書だった。
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