逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~

アニマル効果

身バレを防ぐためにも、九条芽衣をしっかりと作りあげた。
最近はどれが私が作りたいスタイルか分からなくなってくる。
それもこれも、桐生課長にプライベートで出会ったからだ。

女子社員とデートなんてしてるとバレたら生きて帰れないだろう。

なんとしてでもバレてはいけない。


最寄り駅での待ち合わせ。10分前に到着して彼の到着を待つ。

デートなんて久しぶりで緊張してきた。

動物園だと歩くかと思ってゆったりワンピにフラットシューズ。
髪は下ろして前髪も出して、アクセやバッグは上質なものを身につけた。
あまり張り切ったのも嫌だったし、動物園デートなら尚更。

待ち合わせ時間は10時半だったけど、時間になっても現れない。
１５分待ったところで、誘っておいて遅刻とは失礼なとか、もしかしてすっぽかされた？
とか心配になった。
連絡取るにも電話番号もメールも知らない。
どうして聞いてなかったか後悔した。
１１時までの間に2人に声をかけられたけど、頭の中は桐生課長のことばかりで適当にあしらった。
約束破るような人じゃない、もしかして途中事故や具合が悪くなったのかもと、
あらゆる想像をして怖くなった。

結局どれくらい待ってたんだろう。
早めにきていたから一時間くらいだろうか。
ボーっと立ってるのも辛くなってきたので帰ろうとした時、
ガッと手首を掴まれた。

「やっぱ、こっちにいた…。」

「あっ。」