なけなしのプライドを笑え
🖤
今日、学校のテスト期間が終わった。中学に上がってから、勉強に対する意識は俄然高くなった。小学生の時は、テスト範囲はこんなに膨大じゃなかったし、テストの為の勉強でこんな鬼にも鬼のような追い込みなんてしなかった。

あー……気楽な小学生に戻りてえ。

そんなことを考えていれば、近くの小学生とすれ違った。お、下校時間か。
アイツいるかな………。きょろきょろと見回す。

と。


「お兄ちゃん!」

ドン!と腰辺りに軽い衝撃。
振り返ると、妹ーーー小梅が俺に抱き付いていた。


「お兄ちゃんお勉強終わったの?」

「終わった。小梅も勉強頑張ったか?」

小梅はコクンと頷いて、俺の手を握る。
俺はそっと握り返した。

「今日ね!小梅、先生に作文褒められたの。クラスで1番上手だって」


学校での出来事を拙く、だけど一生懸命俺に話す妹の姿は見ていて自然と頬が緩む。俺は相槌を打って小梅の頭を柔く撫でた。

「よかったな、小梅」

綻ぶような笑顔を浮かべて、小梅は俺の手をぶらぶらと揺らす。

可愛いなあ。愛しいなあ。家族として、俺は心底感じるのだ。

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