君がいればそれだけで。
二章・正体を明かそう

知っていたのか

俺はちゃらんぽらんだけど、何も知らない訳じゃない。何も理解できない訳じゃない。だからって訳じゃないけど、王族に仕えている人ってこんなに言葉が崩れて良いのかって不思議になっている。

「ベクウ、パル知らない?」

「パルさんなら庭でラズハルドさんと手合わせしていらっしゃいますよ」

「そっか。ベクウは何してるの?」

パルさんのいる反対側の庭で花壇の手入れをしていると王女様が何しているのかと話し掛けてきた。敬語使うの面倒臭いから早くいなくなってくれないかと思う半面、依頼をこなすのに絶好の機会だとも思ってしまっている自分がいた。
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