君がいればそれだけで。

会いたかっただけ

どうしよう。やっぱりまずかったのかな。断るべきだったのかな。パルさんにはもう感付かれているよね。隠し通せるわけないんだよ、医師である僕が兵士だなんて。国王も何考えているんだ。
王女が狙われているなんて、永遠の命があるんだから大丈夫でしょ。確かに傷や怪我が治るまでは苦しいかもしれないけれど、他の人とは違って死ぬ訳じゃないんだから。
治したくないとか、苦しめば良いとか思っている訳じゃない。永遠の命だからこそ、辛い事とはなるべく無縁でいたいだろうから。
そうじゃなくてさ。この国にはもう少し違う形で来たかったんだ。任務としてじゃなく、一人の国民として住まいたかったんだ。そうすれば兄とまた家族になれたのだから。
僕は妖怪の母とエルフの父の間に産まれた。同種族ではないけれど、二人とも精霊に分類される種族だったから追放はされなかったし虐めもなかった。両親との生活に不満もなかった。
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