「好き」はきっと二分の一
高校生になってから、朝は頑張って早起きすることにしている。だって、幸せな時間があるから。

「行ってきます!」

夏用の高校の制服に着替え、私、蒼井若葉(あおいわかば)は家を出る。腕時計を見ると、まだ七時になったばかり。七月になってから気温はグンと上がった。

少しずつ高くなっていく気温を感じながら、私は高校に向かって自転車を走らせた。



私の通っている青橋高校は、一学年で八十人しかいない生徒数の少ない学校。おまけに進学より就職の人の方が圧倒的に多いんだ。

私が自転車置き場に自転車を停めていると、部活の朝練なのか数人の生徒が体育館へと入っていった。今は静かな学校も、あと三十分もすれば賑やかになる。

その三十分の間は、私にとって特別な大切な時間。自転車の鍵をしっかりかけて、私は早足で一年一組の教室へと向かう。

「先生!おはようございます!!」

教室では、百九十センチ近い身長でラグビー選手みたいにゴツい体の男の先生がいた。この学校の数学の先生、山口忍(やまぐちしのぶ)先生だ。
< 1 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop