極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

流星side

書斎に戻り本を開くが、続きを読む気にはなれなかった。先程の会話が思い出される。

叶が着替えに行くと父が徐に口を開いた。
「流星、叶の処遇はどうするつもりだ」
「なんのことですか?」
「お前が結婚しても叶を家政婦として雇うのかと聞いている」
「結婚?まだするつもりはないですが?」
「そうはいかない。お前ももう30だろう。そろそろ身を固めるときだ。ちょうどお前に相応しいお嬢さんがいる。今度会わせてやる」
「そんなつもりは無いと言ってます。それと叶のこととどういう関係があるんですか?」
余計な事をしないでくれと不満を吐き出すようにため息をついた。叶の事をとやかく言われたくない。叶は俺が個人で雇ってる家政婦なのだから。
「あるだろう。妻からしたら同じ屋根の下に若い女性がいたらいくら家政婦だとしてもいい気はしないだろ?」
「そうそう。叶だって変に目の敵にされたら可哀相だろ?だから叶は俺が貰ってやるよ。リュウ兄は安心して奥さんもらいなよ」
「何を言ってるんだ風雅は」
訝しげに風雅を見るとさも当然というふうに言ってくる。
「叶は俺たちといると楽しそうだし、寂しい思いもしないよ。叶もその方がいいって言うに決まってる」
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