あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「お前、バーベキュー行くの?」
「はい。買い出しから係です。」
「あー。それ、新人の仕事だからな。」
「先輩も行くんですか?」
「だから、仕事中は桐谷さんだろ。」
「はい。で、行くんですか?」
先輩は助手席を一番後ろまで下げて長い足を組みながら次の社に置いてくる薬品のリストをチャックしながら話す。
「あぁ。あれはお盆休み前の恒例行事だからな。バーベキューと忘年会くらいはいつも顔出してるよ。俺。」
「そうなんですね。」
「あぁ。」

2人での外回りはこうして話をすることが多くなった。
昼食も一緒に取ることに少しずつ慣れてきている。最近は暑すぎて外では食べず、どこかの店内に入って食べることが多かった。

一緒に過ごす時間が長くなるとお互いの好きな食べ物も分かるようになってくる。
食べるときのしぐさや癖も。

私は得した気分で一緒に食事をしながら、先輩のことが好きな女性社員に少し申し訳ない気がしていた。これはフェアじゃないな・・・と思いながらも自分の感情はすでにコントロールできないところまで来ていた。
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