あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「いろいろはいろいろだ。で?どうなんだよ」
「暇です。」
「じゃあ、8時集合な。」
「え?」
「お前んち。今度こそ住所教えろ。」
「・・・はい」
私は先輩の話について行くことができず、心ここにあらずで返事をした。

先輩への確かな恋心を確信した日から2か月。
仕事は仕事だとなるべく意識しないように心掛けてきた。でも、先輩の一挙手一同にどきどきするし、それを隠そうと必死なのはいなめない。

営業先によっては一緒に食事をすることもあり、接待もこの2カ月で数回経験している。昔のような飲み会での営業は減っていて、短時間の会食程度の接待でも、先輩に年配の管理職のおじさんからのセクハラを阻止してもらったり、さりげなくフォローされると胸が苦しいほどに高鳴った。

気遣いが元からできる先輩のそっけないフォローに気づくたびに、私の中に芽生えた恋心がどんどんと膨らんだ。いつかこのままだと爆発しかねないと思ってしまうほどだ。
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