彼と彼女の甘い秘めごと
▼苦い、苦い、カウントダウン
◇
…なんだか具合が悪い。
起きてすぐの感想はそれだった。
身体の重だるさと戦いながら、浅くて回りにくい思考に対してもムチ打って学校に来て。
熱があるわけでもないし、咳とか症状が出ているわけでもない。
身体がとにかく重だるくて、動こうと身体が言うことを聞くまで時間がかかった。
『生徒の皆さんに連絡します。全校集会を開きますので、第一ホールに集合してください。繰り返します――…』
「紗和ちゃんおはようっ」
「おはようひな。今日も頑張りましょうね」
「うん!頑張ろうねぇ」
それでもちゃんと学校には行く。三年間皆勤であることすら守れなかったら、父に軽蔑されてしまうに決まってる。
当たり前のように横に来てくれたひなに、気持ちが明るくなった。