雨のリフレイン

名前を呼んで

「柊子!」


自分を呼ぶその声に、信じられない思いで振り返る。

白衣をひるがえして小走りでやってきたのは、今話題になっていた水上本人だった。


「ダメじゃないか。
こんな所で何をしているんだ。
信子さんもう検査終わって、一人で待ってるぞ。
飲み物を買いに行ったまま、君が戻らないと心配している」
「す、すみません」


水上は、柊子の隣の三浦にも声をかける。

「三浦先生。
先日も答えたが。
柊子の母親は、自分にとって恩人であり、今は家族のようなもの。
もちろん、柊子も。
だから、彼女に嫌がらせはしないでほしい」
「い、嫌がらせなんて…」


焦る三浦が慌てて柊子の手首から手を離す。
怒りに任せて力一杯握られた手首には、跡がついていた。
それを一瞥して、水上は柊子の背中を押してこの場を離れた。




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