雨のリフレイン

水上家の魔女

木曜日。
いよいよ明日は、横浜に行って洸平に会うと決めた日。
仕事を終えて帰宅した柊子は、マンションの前で
見知らぬ女性に声をかけられた。

「八坂柊子さん?」

大きなつばのついた、女優がかぶるような帽子にサングラス姿で顔はよく見えない。
黒のワンピースは、ふくよかな体型に合っておらず、肉感が浮き出ている。

「どちら様ですか?」
「わたくし、水上鈴枝と申します。水上洸平の亡き父親の妻ですわ」

柊子は息を飲む。
洸平の亡き父親の妻ということは、以前、洸平に話を聞いていた後妻。
まさかの人物登場に、動揺してしまう。


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