一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編

可愛い予言者

「萌音、ちょっといいか?この案件のことなんだけど」

「あ、海音、ちょっと待っててくれる?この製図もう少しで完成するから」

萌音が佐和山建設に入社して9ヶ月が経とうとしている。

12月になり、萌音は海音と恋人としての初めてのクリスマスを過ごし、27日の今日は仕事納めだ。

「年明けには施工段階に入る。先方も今日中に最終決定をしたいと言ってきている」

「だよね。四月から子供さんの小学校入学だもんね。いくらツーバイフォー工法だからって納期を少しでも短くしたいだろうから」

海音が持ちかけてきているのは、30代の山本さん夫婦の新築物件。

間取りも決まり、建築材や細かな備え付け家財、キッチン、バス周りなども決めた。

残すはエクステリアのみ。

イメージはほぼ固まっているのだが、奥さんには最後まで迷っている部分があるらしく今日中に確認したいらしいのだ。

「わかった。急ぐね」

萌音は数ヵ所の修正を加えて、パソコンのCADを閉じた。

< 1 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop