皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
結婚式
【フィンリューク】



俺の妻はひとりでいいのだ。



「帰りたいです…」

「お前もか、セレスティーナ」

「はい…」



後宮を解散させた。



俺に見染められなかったということよりも、自由になることを選んだふたりを、城から解放した。



空っぽになった後宮は、この先誰かが使うのだろうか。



気分は晴れた。



それと同じように、外も花が咲き誇る季節。



「ジェード、ゲストの警備は大丈夫か?」

「はい、抜かりなく」

「ならよい」



さぁ、結婚式だ。



初めて会ったアリスの両親。



厳格という言葉が似合う父と、アリスに似て美しい母。



兄の騎士は、騎士として参列する手筈になっている。



とにかく、無事に終わればいい。



「殿下、アリス様がいらっしゃいました」

「アリス…」



なんだこれは。



真っ白な花嫁は、妖精だと言われたら納得する程の美しさ。



やはり、俺はこの顔が好きなのだな。



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