御曹司に身分違いの恋をしました。
母の決心


今日は給料日
月に1度だけ訪れる実家。


もちろんわたしの目的はお金を
渡すだけ。


母は母なりに私のことを
心配してくれてるみたいだと
弟の拓実がたまに電話をかけて
様子を教えてくれている。


拓実は私が父を嫌っているので
父の話は極力しない。


「オレも高校出たら
家を出るから」


それが今あの子の口癖
余程居心地が悪いんだろう。


「困ったことがあったら
いつでも隠さずいいなさいよ」


「うんありがとう」


「最近父さんはどうなの?
真面目に仕事行ってる?」


「たぶんね
朝はちゃんと出てるようだし」


ギャンブル好きだから
生活はギリギリ・・・いや
ギリギリどころかマイナス
母さんも働いていてそのお金が
生活費になっているんだと思う。


「どうなろうとオレはオレだから!
クソじじいの世話にはならないか」


拓実は実の父なのに
親のことを良いようには言わない。


「あんたねぇー
あたしは義理でもあんたに取っては父親よ?
クソじじいは無くない?
あたしでも言ったことないわ」


「いいんだよ」


拓実は冷めてる
いつもこんな感じの会話。



「これで父さんへの借金は返済したから」
と最後のお金を手渡した。


「お前数ヶ月でそんなに稼いだのか?」


「そうよ!」


早く返したかったから
給料は最低必要なお金だけ取って
払っていたから。


「高級クラブで働くのは給料いいんだなぁ
まだまだ稼いで助けてくれよな」


「え?今度は助けろ?
冗談でしょー
2度と来ないから」


台所に居た母に
「帰るね」と言いにいった。


「ご飯食べて帰りなさいよ
あんたの好きな親子丼を作ったから」


「親子丼は食べたいけど
あの人と顔を合わせて食べるのは
不味くなるからいい」


「そう・・・」


母は悲しい顔を見せた。


なんでそんな顔をするの?
今更じゃない?
私が責められてても見て見ぬ振り
私が少しでも可愛いと思うなら
半分・・・ううん
ほんの一部でいいから味方してよ!


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