元カレと再恋愛ってありですか?
別れのチーズリゾット
「木ノ内さん、社長がまた新規とってきましたよ」
チームの佐々木から声をかけられた紗那。
「え?」
紗那は抱えている仕事が多いのに加えて一年に一度の建築デザイン賞に向けてのデザインも考えていた。
「ちょっと無理だな・・・」
「しかも来月には着工したいらしいんです。多分ほかが断った案件をとってきちゃったぽくて。」
佐々木から紗那は資料を預かった。
「無理だな・・・さすがに・・・」
かなり手を抜いたとしてもほかの仕事への影響も考えると無理だ。しかも、手は抜きたくない。
そう考えるとすでに月の中旬なのに翌月に着工というのは無謀だった。

紗那は資料をしばらく無言で見つめてから、立ち上がった。
「ちょっと社長に話してくる。」
紗那が社長に直談判するのは初めてだった。
それまでは自分の睡眠時間を削ってでもなんとかこなしてきた。

それが会社で雇われている身としては仕方のないことと割り切ってきたのだ。たとえ自分の引き受けた仕事ではなくても全力でデザインをしてきた紗那。妥協はしたこともなかった。
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