エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
再会の衝撃
あれから五年。

お腹に宿った命は無事に産まれてきてくれて、すくすく成長している。


「和宏(かずひろ)、遅くなってごめん」


スポーツ用品店での仕事のあと保育園に駆け込んで、愛息子の和宏を抱きしめる。


「ママー」


四歳になったちょっと甘えん坊の彼は、目元が宏希さんにそっくりだ。

宏希さん譲りの茶色がかった癖のないサラサラの髪には天使の輪ができている。


宏希さんと別れてから、苦労の連続だった。

一度は実家に戻ったものの、結婚もせず、しかも父親を誰か明かすことなく子を産むことを父や母に強く反対された。

とくに父は大激怒で、赤ちゃんを堕胎させるために私を病院に無理やり連れていこうとした。

赤ちゃんをどうしても守りたかった私は、逃げるようにして実家を飛び出してからは一度も帰っていない。


宏希さんと一緒に住んでいた町から電車で一時間ほどの家賃の安いアパートに住居を構え、出産直前まで必死に働いた。

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