戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
一首 忍れど

一、属すこと

抵抗は無駄だと分かっている。

しかし政府の言い成りになんてなりたくない。

私にはもう、此れしかないのにー。






























「やあ、おチビさん、大丈夫かい?」


目を開くとそこには黒髪をだらしなく結んだ
成人男性がいた。


(大丈夫な訳ないだろう。)


そう思いながら目を逸らす。

にしてもこの爽やかな笑顔が逆にウザい。

すると男は私にこう言った。


「私達の仲間にならないかい?」


…何を言っているんだ此奴は。

この状況を理解しているのか。


「嫌だ。俺は何処にも属さないので。」


そう言い放つ。

それで諦めてくれると思った。


「ならば、これでどうかな?」


憲兵が倒れた。

手足が自由になった。

此奴、異能力者か?

だとしたらきっと『政府反乱異能軍』だろう。

政府側ならば憲兵を倒す事はしない。

もし断れば殺されるのも不思議ではない。

いや、この際此処で人生を終わらすか。

なら、敢えて抵抗する!!


「四十首…。忍れど 」


異能力を目の前の男に使う。

しかし男は動じない。

此奴、幹部とかそこら辺か?

かなり余裕だな。

ならば誘導尋問で…。


「何故私を助けた?お前にに利益はないだろう。」


男はさらにニンマリと笑う。

少し不気味だ。


「利益はあるさ。」


そして続けて言った。


「君が仲間になってくれるというね。」


此奴は人の話を聞かないのだろうか。

私は先刻何にも属さないと言ったのだが。


「貴方は何者…?」


「私かい?そうだな、私はー

































『神代の郷』の理事長だよ。」



< 2 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop