戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。

二、神代の郷

此処が、『神代の郷』…。

私は目の前の楼門(らしきもの)を見上げる。


(綺麗だなぁ…。)


率直に感じた感想だった。

長年外に出ていないからなんだか不思議だ。

とは言っても本当は何も感じないのだけれど。

私は精神病だ。

病名は確か「総合失調症の陰性症状」。

幻覚や妄想などが特徴的な症状だったかな。

…どうでも良いけど。

そんな事を考えていたら楼門らしき物が開く。

ギィィィ…。

かなり古いのか軋む音がする。





























「理事長様!!お帰りなさいませ!!」




























「…え」


驚いていないと言えば嘘になる。

少し驚いた。

其処には理事長を囲む美女達。

…この人、モテるんだぁ…。



…ああ、質問の意味は此れか。

一緒に入ってきた私は絶対にこの女共に
恨まれるし、嫌われるだろう。

その証拠に女共の視線が私を睨んでる。

なんだ、こんな事を心配したのか。

別にこれくらいはどうって事ない。

何も感じないのだから。


「理事長様、誰ですあの女…。」


「あ、ああ今日付で『神代の郷』に新しく
 入ってきた子だよ。」


「えー!!女はもう増やさないで下さいよ!!」


「そう言う訳にはいかないんだよ〜。」


すごい反論するなあの女共。

まぁ、どうでも良いか。


「…私は何処に行けば?」


さっさとこの場から離れたい。

しかしそんな細やかな願いは叶うはずもなく。

私の前に女共が集まる。


「ちょっとアンタ理事長様に気安く
 話しかけてんじゃねぇよ。」


「そうよ、この余所者が!!」


「…来たくて来たわけじゃない…。」


つい、口から溢れでた。

その言葉は彼女達の地雷を踏んだようで。


「じゃあ今すぐ出て行きなさいよ!!」


1人の女が私に掴みかかってきた。

私は別にどうでも良いので抵抗はしない。







「彼女は能力者だ!!」


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