俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
8.「誰にも奪われたくない」
「沙和、おはよう」


寝ぼけ眼の額に触れる温かな感触。

髪を優しく梳かれているのがわかる。

身体中に感じる温もりに、まどろみの中から小さく返事をする。


「え……?」

ふわりと至近距離で口元を綻ばせる凄絶な容貌に、何度か瞬きを繰り返す。


どうしてここに愁さんがいるの?


周囲を少しだけ見回して、厚いカーテンの隙間から漏れる日の光に気づく。

大きなベッドにどことなく既視感を抱いてしまうのはなぜだろう。 


そこまで考えた途端に意識がはっきりと覚醒した。


私、昨日愁さんと……!


「沙和?」

覗き込む甘い視線に、一気に頬が熱を持つ。


「お、おはようございます……!」

「……起きたな」

クスクスと声を漏らして頬に唇が触れ、色気たっぷりの声を耳元に落とされてあたふたしてしまう。


「その可愛い姿は俺の前だけにして」


さらりと私の髪を撫でて、ベッドから起き上がる。

「今日ほど仕事が嫌になった日はないな」

そう言って歩きだした愁さんの、程よく筋肉のついた綺麗な背中に見惚れてしまう。


誰かと過ごした後の朝が、こんなに幸せでくすぐったいものだったのは初めてだ。

全身に響く鼓動と熱を持つ頬を持て余す。


「俺はもう行くけど、沙和はゆっくりしてて」

身支度を終え、ベッドサイドに腰かけた愁さんに甘く見つめられる。


その視線だけで想いが溢れそうになるなんてどれだけこの人に溺れているのだろう。
< 187 / 227 >

この作品をシェア

pagetop