極上弁護士の耽溺プロポーズ
強引なキス
翌朝、わたしは柊一くんと一緒にマンションを出た。

結局柊一くんのマンションに閉じこもって静養するより、柊一くんの事務所を手伝うことを選んだのだ。

都心の一等地にあるガラス張りのビルの八階に、柊一くんが働く法律事務所がある。

今は父親に雇われている形だけれど、ゆくゆくは柊一くんがここを引き継ぐらしかった。

わたしはこの下までは何度も来たことはあるけれど、中に入るのは初めてだ。

事務所はワンフロアを貸し切っていた。

部屋の天井が高い。

それに窓も多かった。

開放感のある造りに、これならクライアントも相談しやすそうだととっさに思う。

中央に置かれたデスク周りには、昨日会った椎葉さんのほかに二人の女性がいた。

「おはようございます」

三人が柊一くんに向かって挨拶をした。

けれど椎葉さんは隣にいるわたしに気づくと、露骨に不愉快を示して眉根を寄せた。

「先生、なんですかそれは」

「ああ、今日仕事を手伝ってくれるんだ。何かできそうなことがあれば教えてやってくれ」

「た、橘光希です。よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げると、椎葉さん以外の二人が簡単に自己紹介をしてくれた。

戸川さんと藤山さんと名乗った彼女たちはここの事務員らしい。

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