しあわせ食堂の異世界ご飯６
五　幸せいっぱいしあわせ食堂
五　幸せいっぱいしあわせ食堂


　今日この佳き日は、きっとジェーロの歴史に残るだろう。

　パンパン、パァンと。
　魔法具を使った花火が澄んだ晴れの空に打ち上がる。
　街ゆく人たちは思わず顔を上げて、「わあぁ」とその光景を楽しむ。そして人々が足を運ぶ先は、この街にある大きな大聖堂だ。
　そこで執り行われるのは、皇帝であるリベルト・ジェーロの結婚式。
　つい最近までリズベット・ロスタンと婚約をしていたのだが、どうやら別の女性であるエストレーラの王女と結婚をするらしいと、街では噂になっている。
　しかしその内容は、あまりいいものではなくて……。
「なんでまた、公爵家のご令嬢との婚約を破棄してエストレーラの王女となんて結婚するんだ？」
　意味がわからないと、国民の男は言う。
「本当にな。ロスタン公爵の作ったパンの屋台とかけっこう好きだったし、病院も作ってくれたりしてたのになぁ……」
　人気取り、そう言ってしまえばそこまでではあるが、ライナスは国民から一定の支持は得ていたのだ。
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表紙・目次

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