ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


そうだよね?
お兄ちゃんの言う通り、そのままにしておいてもいいよね?


奥野先生、頼りになるモン
それは私もよくわかってる
だから、大丈夫だよね?

もし、今の電話が日詠という医師を呼ぶ緊急コールなら
日詠医師を求めた患者さん、ゴメンナサイ

私、彼を今、そっちへ向かわせてあげられる余裕がない

だって、今、ようやく
彼のあたたかさをもっと近くでもっと深く感じるコトができそうだから

だから
ゴメンナサイ

私、彼の手を今、離せない


私はココロの中で小さくそう訴えながら再び目を閉じた。

そして、彼の唇がまた私の唇に触れようとしている気配を感じた瞬間。



ピンポーン!!!

えっ?


今度はなに?
ここ自宅なんかじゃなくてホテルの一室なんだけど


「お客様・・・ルームサービスでございます。」


えっ?
お兄ちゃん、いつのまにルームサービス頼んだの?

えっ?
というコトは

お兄ちゃんはルームサービスが来るのを見越していて
私と抱きしめようとした?

ルームサービスが来たら
そういうコトはハイ、終わり! っていうことにしようとしてたの?
お兄ちゃんは私とそういうコトを本気でしようと思ってなかったの?

私、ただ、アナタにからかわれてただけ?!
そうなの?
どうなの?


なんか泣きそう
私、本気でアナタの胸に飛び込むつもりだったのに


「今の、聞き流せ。」

『・・・・・・・』


えっ?ルームサービス、スルーするの?
お兄ちゃんが頼んだのに?

聞き流せってことは
・・・このままでいろっていうことであって
・・・抱きしめるのをやめるってことではなく
・・・からかおうとしているわけでもなく
正直なところホッとしたりなんかするけど



でも、やっぱり
ドアの前で人を待たせるのは気がひけるわけで

『で、でも、このままじゃ、ホテルの従業員さん困っちゃ・・・・ンん?』

今度は彼の長い人差し指で塞がれた私の唇。


「ったく、聞き覚えあるだろッ、さっきの声。」


えっ?聞き覚えあるだろッて?

・・・・誰?!



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