美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

出会い

゛可愛い・・・!゛

朔也は、目の前で、はにかんで微笑みをこぼした瑠花を見て内心はかなり困惑していた。

異彩なオッドアイを持つ゛三神瑠花゛の笑顔を見ることは、針の穴を通す程度に困難だ、と商品開発部のスタッフが話しているのを聞いたことがある。

昔、彼女が今より幼かった頃、偶然見かけた笑顔も可愛いと感じたが、現在のそれは、清純さのなかに大人の色香が加わり想像以上だった。

朔也が、つい最近まで穂積ソワソワシュヴに就職していた瑠花の存在に気づかなかったのには訳があった。

一つは、朔也の知る瑠花と、成長した瑠花の目の色が違っていたこと。

そして、研究開発部のエースと認められるはずの瑠花の功績は、全て狭間と但馬の功績として幹部に報告され、一社員である瑠花の存在が表に出てくることはなかったことにある。

朔也が三神瑠花を知ったのは、今から12年前。

朔也が20歳の春だった。

都内の私立大学に進学し、経済学部2年生となり、これといった目的もなく過ごす日々。

幼い頃から、父が社長を勤める穂積ソワンデシュヴCo.ltdに就職することを当然のごとく求められてきた。

将来特にやりたいこともない。

だがらと言って、積極的に会社を継ぎたいわけでもない。

20歳の迷える青年は、両親に促されるまま、Dシティ内のモールにある穂積ソワンデジュブの販売店、穂積堂で春休み期間中だけバイトをして現場に触れる体験をさせられていた。
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