美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

オッドアイと日本髪

研究室に戻った瑠花は、数々の液体を前にワクワクする気持ちを抱きながらもため息をついた。

初めて対峙する人に会った後はいつもそうだ。

瑠花には自分ではどうすることもできない、先天的なコンプレックスがある。

それは・・・

゛目゛

だ。

イギリス人とギリシャ人を両親に持つ母と純日本人の父を両親に持つ瑠花は゛オッドアイ゛いわゆる左右の虹彩の色が違う瞳を持つ。

オッドアイは、医学的に虹彩異色症゛ヘテロクロミアオブアイリスといい、先天的な原因で発症すると定義されている。

病気ではないのだが、病名がついているだけに訝しがる者も多い。

人間よりも犬や猫に多く発症し、動物ならば高額で売買される。

瑠花の目は、右がヘーゼルアイと言われる明るめの黄色。

左目が青っぽいグレーだ。

日本人の虹彩もブラックだと思っている人が多いが、じつはほとんどが黒に近いブラウン。

まあ、多国籍民族ではない日本では、虹彩の色を申請する機会も少なく、自分の虹彩の色を普段から意識する日本人は少ないと思う。

たが、オッドアイを持つ瑠花は違った。

人は、いや、特に日本人はmajority(多数派)に属することを大切にする。

異質な者(物)を受け入れず、minority(少数派)を除外しようとする者もいる。

幸いにも、瑠花の両親は、瑠花が生まれてきたときから彼女の全てを受け入れ、可愛がってくれた。

しかし、親戚の中にはあからさまに瑠花を気味悪がったり、目を反らす者もいた。
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