Get over it.

響said

春日井響 said

大神組の地下には、久しぶりに見る美乃里がいた。

甲高い声で怒鳴り散らす美乃里の姿に、これがあの美乃里かと
疑う程だった。

そして、俺の知らないうちに逃げ出していたとは・・・。

下の者に任せっきりで、放置していた自分の甘さが招いた失態だ。

逃げた上に、敵方の女になって大神組の若姐を狙うとは・・・。


そして、俺の失態を嘲笑うのではなく、処分を俺に任せてくれた
大神組の若頭の度量の大きさにも完敗だった。

本当は、自分で処分したいほどに怒り狂っているはずだろうに。


俺は、この時、この男『大神龍生』について行きたい、こいつと
肩を並べるくらいの男になりたいと心底思った。




地下の部屋から戻り通された部屋は、広い応接室だった。

コの字に並べられるソファーの奥の席に、俺と朝陽、律がすすめられ
座ると向かいの席に大神龍生、残りの席に今井数馬と前田京が座った。

「今からお前達に会せるのは、俺の嫁だ。」

大神龍生は少しイラつき気味にそう言った。

その話し方から、本当は会わせたくないのだろうということが分かった

それなら何故会わせようとするのか・・・・。

俺の疑問は直ぐに解けることとなった。


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