Get over it.

図書室

私は響たちとは別の高校に通っている。

至って普通の共学だが、ここでも『ガーディアン』の人気は凄い。

そんな中、地味な私があのBarに入るのを面白くない人達もいて、
嫌がらせや心無い言葉を浴びせられることも多い。

ここでの私は、黒縁メガネに目が隠れるくらいの前髪をした地味女。

特に仲の良い友達がいるわけでもなく、一人。

そんな私がホッとできるのは、図書室。

ここは、人が来なくて楽に息ができるから好きだ。

「また来たのか?」

椅子に腰かけると、奥から低めのハスキーボイスが届いた。

私の目線の先には、私と同じような黒縁メガネに黒髪、長めの前髪の
地味男、織田 龍生(オダ リュウセイ)がソファーに横になっていた。

「ここが落ち着くからね。」

「フ・・、そうか・・・」

この織田龍生は、私の1つ上。何故かいつもここに居る。

「最近はどうだ?」

「あんまり変わらないよ。まあ、私がガーディアンと関りがあるのが
 面白くないんだろうけど・・・。」

「お姫様には、何もされてないか?」

「ん~、口で言われるくらいかな・・・。私が、ガーディアンと離れれば
 いいんだろうけどね。龍生はどう思う?」

「お前が離れたければ離れればいいし、居たければ居ればいい。
 俺は、お前の決めた事を応援するさ。」

「もう、決まらないじゃない。役立たずね。」

「一つ聞いてもいいか?」

「何?」

「何でこんな思いまでして、ガーディアンから離れないんだ。」

「ん~、ガーディアンはね初めて私に居場所をくれたの。
 私を信じてくれる人たちがいる大切な場所なの。
 自分から離れることは・・・ないかな。」
 


龍生は、私の言葉に「そうか・・」と気のない返事をかえすとソファーに
また横になった。

私も、持ってきた小説を静かに読みはじめた。



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