リベンジ学園
「まぁ、まずは小原紗栄子の遺書の内容を知ってからだ。

遺書の内容がわからねぇんじゃ、何を悩んでいいかわからねぇよ」



「だけど、虎治君……」



辰雄はそう言って、不安そうな顔で虎治を見たが、また虎治の機嫌が悪くなるのを気にして、それ以上は言えずにいた。



普通の人は遺書の内容がわからないから不安になる。



だけど、虎治は生まれ持った鈍感力で、そういった感情を遮断する能力を持っていた。



「辰雄、とりあえず教室に行ってみようぜ。

その方が小原紗栄子のことを知れておもしろそうだ」



虎治はそう言って校舎へと歩き出し、辰雄はそんな虎治の後ろを歩いていた。



虎治は歩きながら、小原紗栄子をいじめていたときのことを思い出して笑っていた。



紗栄子は泣き叫び、虎治はそんな紗栄子を子分を従え支配していたのだ。



虎治が生きてきた15年間で、身近な人が死ぬのは初めてのことだった。



虎治は人の一生が簡単に終わってしまうことを不思議に思いながら、自ら命を絶った紗栄子を負け犬だと思って蔑んでいた。
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