愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
サヨナラの涙




別れの時間が近づく中で、いつも通り接することは何より難しかった。


これで最後かもしれない。

そう考えると無駄にはしたくない、何か心に残るようなことをしたいと思うのだ。


けれどそれは許されない。
怪しまれてしまえばその時点で終わりだ。

あくまでいつも通り。
意思が相手に伝わらないように。


このままバレてしまいたい。

そう思ったけれど、結果的に瀬野を不利な状況に追い込むことになる。


私の行動が少なくともマイナスになることはない。
そのため、この選択は決して間違っていないと思う。

けれど一週間という期間はあっという間で。
自分から提示したのだが、気づけば最終日になっていた。


「じゃあね、愛佳!」
「うん!また月曜日ね」


私の中ではもう別れ方を決めていた。
けれど、直接話せば心が揺らぎそうで。

最後だというのに、私は放課後に沙彩と遊ぶ選択をとった。

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