愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「川上さんはゆっくり奪った方が染め甲斐があるかもしれないね」

「何言っ…んっ」


また唇を塞がれる。
私の言葉は全部キスで封じ込める気なのだろうか。

まるで唇の形を確かめるようなキスに抗えない。
どんどん呑まれていくのがわかる。


またのぼせたような感覚に陥り、少しだけ思考回路が鈍くなった気がした。


「その反応、たまんないね。
頬真っ赤にして、目はトロンとしてる」

「……っ」

「もしかしてハマってくれた?
だとしたら嬉しいなぁ」

「そ、そんなわけないから…!」


ハッと我に返り、慌てて瀬野から離れてベッドから降りる。

危ない、あのまま流されてしまうところだった。



「これからが楽しみだね、川上さん」

そんな私の反応を見て、楽しそうに笑う瀬野は本物の悪魔に思えた。


「もう君は俺に逆らえないんだよ」

弱味を握られてしまった以上、私は瀬野の手のひらで転がされることだろう。

思わず気が遠くなるような出来事に、私は中々信じられないでいた。


< 70 / 600 >

この作品をシェア

pagetop