訳あり冷徹社長はただの優男でした
私が一人自問自答していると、ふいに柴原さんが振り向く。

「美咲もおいでよ。たまには映画でも見る?」

「明日も仕事なのに、そんなの見てる余裕ないでしょ。」

「ははっ。そうだよね。」

でも呼ばれたので私はおずおずと隣に座った。
見ていたのは録画していた子育ての番組だった。

「こんなの録画していたんだ。」

「今度子供用のアプリでも開発しようかな?」

「もうアプリよりAIとかIoTの時代じゃないの?」

「美咲は先見の明があるね。うちの会社で働く?」

言われて、あの綺麗なオフィスを思い出す。
と同時に、あの美人さんたちに囲まれている柴原さんを想像してモヤっとなった。

「柴原さんの会社、綺麗な人が多いよね。柴原さんって面食いなの?あんなとこで働くには勇気いるわ。」

嫌味ったらしく言ってやったのに、柴原さんは私の髪を撫でながら、

「美咲が一番可愛いよ。」

と爽やかに言い放った。

「………この番組、なんか、勉強になるね。」

「ああ、無視された。」

私のツンツンした態度にも楽しそうに柔らかく笑う。ウズウズと嬉しさが込み上げてしまい、私はごまかすようにテレビの画面を見つめた。

「美咲はツンデレだね。」

「~~~っっっ!」

言い返す間もなくそっと手が重ねられる。
温かくて心がほわほわして、しばらくそのまま手を繋いでテレビを見た。
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