訳あり冷徹社長はただの優男でした
***

「すず可愛いなぁ。すずがいると癒される。」

最近柴原さんはよくそんな事を口走るようになった。もう柴原さんは立派なパパだ。あの冷徹非道な柴原さんはどこへ行ったんだと思うほど、すずのことをよく構っている。すずも、柴原さんをちゃんとパパだと認識しているようだ。

そうなると、私の存在って何だろうと思う。

この家は柴原さんのもので、すずも柴原さんの娘だ。
そして柴原さんはお姉ちゃんの旦那さん。
私はただの居候。

いつまでもここにいたらよくないんじゃない?こんな関係、すずにとってもよくないでしょう?

そう思うようになってきた。

柴原さんがすずを可愛がるたび、私の胸はチクリと痛む。
どうしてだろう?
父親が娘を可愛がることはいいことなのに。
いい関係が築けてきているというのに。

それなのに私はなぜ傷付いているんだろうか。
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