ごめん。ぜんぶ、恋だった。
7 さらさら流離う






早く大人になりたかった。

大人になれば、この気持ちの整理の付け方がわかるような気がしていた。

誕生日を指折りに数えて、18歳。

〝私はお兄ちゃんがお兄ちゃんでよかったって思ってるよ〝

呪いの言葉が、今も耳の奥で響いている。


喧騒(けんそう)としているファミレス。夕方に近づくにつれて人は増えて、ドリンクバーだけで居座っている俺たちは完全に迷惑な客だった。


「柊って、泣くんだね」

対面式のソファで、志乃がアイスティーの氷をストローで突っついていた。

さすがに倉木の家に連泊はできないので、最悪24時間営業のこのファミレスに世話になるつもりでいたのに、志乃は学校からずっと俺の後をついてきていた。


「泣いてねーよ」

「でも泣きそうだったでしょ」

俺は誤魔化すようにソーダを飲む。


まさか仁菜から電話がかかってくるなんて思わなかった。

速水と仲良くやってるんだろうし、学校でもふたりの姿が視界に入らないように教室から出ないようにしていた。
< 113 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop